・スムーズな「ひと声かけ」の秘訣とは?
「そこは立ち入り禁止ですよ」「その姿勢は危険ですよ」「その使い方は間違ってますよ」「きちんと保護具を使いましょうね」などなど。建築や土木の現場で人に注意を促すのに有効なのが「声をかける」と言う行為。頭でわかってはいても、先輩や上司、または知らない人などに注意するときは声をかけにくいのもまた事実です。私も以前はそんなことで悩んでいました。そこで、今回は私が昔に出席したある現場の安全衛生協議会の中で、そのお会社の安全責任者さまからお伺いしてとても感銘を受けた「ひと声かけ運動」についてのお話を、できるだけ忠実に再現してご紹介します。
・ある現場の安協で聞いたひと声かけ運動の心得
「あのね、ひと声かけ運動を何でこんな必死になって定着させようとしてるか解る?何も難しく考えんでもいいんだよ。何でやるのか?仲間に『ただいま』を言わせるためにやるんだよ。ここにいる私も含めた全員が、大切な誰かに『行ってきます』と言って集まっているんだよ。一人暮らししてる人もそう。大切な誰かがいることに例外はないんだよ。そして、ここに集まった人間は、全員が職種の違いを超えて一つの建物を作るために集まった仲間同士なんだよ。『行ってきます』と言ってここへ来たやつは『ただいま』と言う義務があるんだよ。『ただいま』と言わせる義務があるんだよ。それはプロとして当然の義務なんだよ。事故を起こしてケガをすれば、その日の『ただいま』が言えなくなる可能性があるんだよ。誰も事故を起こしたくて事故を起こしてるんじゃない。横着して起こる事故ももちろんあるけれど、必死に働いてて事故になる場合もあるんだよ。難しいことは考えんでいい。『ただいま』を言う。言わせる。たったそれだけのことを踏まえて、これからのひと声かけ運動がさらに定着するよう、ご協力よろしくお願いします。それでは本日もご安全に。」
・みなさんも是非ご参考に。
いやあ、目からウロコの切り口でしたね。私はこのお話を聞いてから、とてもシンプルな気持ちで仲間へのひと声かけができるようになりました。仲間に「ただいま」を言わせる。みなさんもよろしければご参考にしてください。おっと、そうこうしているうちに私も我が家にたどり着きました。愛しい家族に今日もきちんと『ただいま』が言えそうです。それでは本日は失礼します。
♪ピンポ~ン(ドアチャイムの音)
※byケイ子「ヒートショックって知っていますか」のラストへ続く